- コメント 08/05/16 傍観者 さん
- 質問です。
国有地、国の管理区域の扱いはどうなるのでしょうか?
国道などの管理権限が国にあるのならば宣言後、地域を分断する事となりますが如何に?
同じく国の管理地の自衛隊と進駐軍とが対峙する事態は想定されるのでしょうか?
以上の質問は、大阪市民の会に始まりいくつかの奨励制定を目指す団体に質問しましたが
はっきりと答えないか無視のどちらかでした。
あなた方が占領を望まないのは理解します。が、59条が占領と言う事態も想定しているのですから、それに見合った条例案を望みます。
でなければ、沖縄の悲劇の再来となる恐れがあります。
それともあなた方は占領下の沖縄は天国のようだったと主張するのでしょうか?
【上記コメントは、「条例案についての説明」のページに寄せられたものです。】
- ブログ管理人からのお返事
- (1)「国有地、国の管理区域の扱い」ですが、国が所管している土地にも、尼崎市の行政権は及びますので、市長が無防備地域宣言をすることは可能です。
(2)「国道」についても同様です。
(3)「国の管理地の自衛隊と進駐軍とが対峙する事態」についてですが、無防備地域宣言を出すためには、武装した自衛隊が存在しないことが条件ですので、無防備地域宣言下において自衛隊と進駐軍とが対峙する事態は想定することができません。逆に、無防備地域宣言に自衛隊が合意せず、武装した自衛隊が存在する場合、進駐軍とが対峙する事態は想定されます。しかし、住宅地での戦闘は最大限避けなければならないことはジュネーブ諸条約で定められているので、自衛隊も国民保護の観点から積極的に無防備地域宣言に合意(を利用)すべきだと考えます。
(4)「(ジュネーブ諸条約第1追加議定書)59条(無防備地域宣言)が占領と言う事態も想定している」についてですが、すべてにおいて「○○してはならない」「○○の場合は××をしてはならない」という文言は「○○」という事態を想定しているといえるでしょう。言い方を変えれば、憲法9条も「戦争」という事態を想定しているとも言えます。だからと言って、「戦争」や「占領」を認めているわけではありません。
なお、第2次世界大戦後にジュネーブ諸条約ができ、その後のベトナム戦争の反省から追加議定書もできました。さらに、戦争犯罪を裁く国際裁判所もできました。パレスチナを占領しているイスラエル軍や、イラクを占領している米軍なども、ジュネーブ諸条約などに公然と違反すると国際的批判にさらされます。それが、現代における戦争や占領に対する抑止力なのです。
確かに、ジュネーブ諸条約などは実効性において不十分な面があります。だからといって、条約を否定することは、積み上げてきた人類の戦争違法化の歴史を否定することにつながります。逆に、積極的に活用すれば、私たちも人類の戦争違法化の歴史の一員となることができるのです。
(5)「沖縄の悲劇の再来となる恐れがあります。」についてですが、沖縄の悲劇はそもそも日本が開戦しなければ起こりませんでした。また、住民の4分の1が犠牲になったことについては、日本軍の撤退ルートと同じルートで住民を避難させたことが住民犠牲の大きな原因です。
(6)「占領下の沖縄は天国のようだったと主張するのでしょうか?」についてですが、そんな事実に反する主張をするわけがありません。このような質問をされることは誠に心外ですが、この点は傍観者さんのお考えと基本的に同じのようですね。
参考:尼崎市議会意見書「教科書検定意見撤回に関する意見書」(2008年3月議会)
- コメント 08/05/20 傍観者 さん
- 先ずは、質問にご回答頂けた点に感謝します。(略)
そこで、さらに質問です。
宣言がなされる場合と言うのは当然『戦時』な訳ですが、日本政府が機能し自衛隊の指揮権が存在した状態での宣言も想定しているのでしょうか?
先の質問の答えで(4)の項目ですが、当方は条約は占領や占領行政を禁止する項目は無かったと記憶しています。
また59条の中に「紛争当事国の適当な当局は、軍隊が接触している地帯の付近またはその中にある居住地で、敵対する紛争当事国による占領のために開放されているものを無防備地区と宣言することができる」とある以上、占領と言う事態に陥った場合の行政側の対応案を考えておくのは当然だと考えます。でなければ、いざと言う時に絵に描いた餅だったと後悔する事になるのではないでしょうか?
- ブログ管理人からのお返事
- かなり専門的なご質問になってきましたね。
まず、参考に『赤十字国際委員会のコンメンタール(解釈集)』を引用します。
誰が(無防備地域の)宣言を出さなければならないか?
2283 原則として、宣言はその内容を確実に遵守できる当局によって発せられるべきである。一般的にこれは政府自身となるであろうが、困難な状況にあっては、宣言は地方の軍司令官、または市長や知事といった、地方の文民当局によって発せられることもあり得る。もちろん、地方の文民当局が宣言する場合は、宣言内容の遵守を確実にする手段を唯一持っている、軍当局との全面的な合意のもとになされなければならない。
第1の質問は、上記コンメンタールの解釈についての質問だと思います。
政府が機能していて、政府として、尼崎市も含めて無防備地域の条件に当てはまる地域を宣言すれば、尼崎市として宣言する必要はありません。問題は、政府が「一億総玉砕だ!」などと言っている場合です。その場合、住民保護の観点から尼崎市として宣言することはあり得ると思います。第1追加議定書の目的は、住民保護を徹底することですので、その目的を達成するための範囲において上記コンメンテール中の「困難な状況にあっては」の解釈を広くとらえてよいと考えます。また、「軍当局との全面的な合意」についてですが、これも「住民保護」の観点から、地方の軍司令官は自らの権限において積極的に合意すべきだと考えます。
第2の質問についてですが、第1追加議定書の前文には「この議定書又は…ジュネーヴ諸条約のいかなる規定も、侵略行為その他の国際連合憲章と両立しない武力の行使を正当化し又は認めるものと解してはならない」とうたっています。なお、国際連合憲章第2条第4項には「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を…慎まなければならない」と定めています。占領を認めていないことは、これらの規定により明らかです。
第3の質問についてですが、「占領と言う事態に陥った場合の行政側の対応案」ですが、占領軍が占領地において守らなければならない事項は、ジュネーヴ諸条約などに定められています。占領軍は、その地域の法律に従い、行政組織も、住民の生活も保護しなければなりません。ジュネーブ諸条約など国際人道法の規定について勉強していくことは、今必要だと思います。
私は「国民保護計画」や「ミサイル防衛構想」のほうが『絵に描いた餅』だと思います。世界最大の軍事力を持っているアメリカでさえ911テロを防ぐことができませんでした。(軍事力で他国を侵害しているからこそテロの標的にされたとも言えます。) また、イージス艦による漁船沈没事故から分かることは、漁船に偽装した爆弾船をイージス艦は防ぐことができないことです。さらに、ミサイル防衛構想については、いつどこからどの方向にミサイルを飛ばすか決めて実験してかろうじて成功する程度です。
なお、巨額(試算数千億〜1兆)のミサイル防衛構想について、昨年末に、石破防衛大臣は「命の大切さを金でかえることはできない」と発言しました。生活保護基準にも満たないような生活を余儀なくされているお年寄りの年金からも保険料を天引きするような政治をしておいて、「命の大切さ」とかいう発言は信じられません。もし、ミサイル被害を防ぐというなら、地震でも壊れそうな家に住んでいる人の家を補強・改築するほうが命を守ることにつながると思います。(ちなみに阪神大震災の死者の9割が圧死です。) 最後は余談でした。
- コメント 08/05/24 傍観者 さん
- たびたびの質問ですが、、、。
その(1)
先の質問で国道の問題を聞きましたが、道路法上の管理権限はやはり国にあるのでは?
使用許可の権限は管轄の警察にありますが、継続的に占用する場合の許可権限は国に在るのではないのでしょうか?
この場合、自衛隊のみに占用許可を下ろすという事態は想定されませんか?
その(2)
「占領と言う事態に陥った場合の行政側の対応案」を検討すべきと言ったのは、先にも述べたとおり占領や占領行政に対する禁止項目がない点について不安を覚えるからです。
確かに国連憲章や条約前文などで指摘されていますが同時に、これこれを禁止するといった条文の中にこれらが無いのも事実です。
場合によっては、尼崎市と侵攻軍、自衛隊とで条約の解釈の違いを生みかねません。
相手が笑顔で握手を求めてくると限らない以上、条約に書かれていない部分は市条例もしくは条例規則としてきちっと定めて場合によっては相手との交渉材料をおく必要があるのではと危惧します。
相手の条約解釈のままに置く事が危険なのは占領下の沖縄を見れば明らかなのはご存知の通です。
それとも、鼻から占領という事態は想定しない事を善しとして条例化を目指すのでしょうか?
- ブログ管理人からのお返事
- その(1)について
ご質問の内容については、お見込みのとおりだと思います。
ただ、そのことと無防備地域宣言をすることとは法的に関係がありません。
無防備地域宣言は、宣言地域から自衛隊を強制的に締め出す宣言というよりも、自衛隊に協力(合意)を求めるものです。軍隊の存在するところは攻撃目標にされる可能性が高いので、自衛隊と自治体とが協力して住民に被害を与えない形を追求すると言い換えてもいいでしょう。自衛隊に協力(合意)を求める根拠として、無防備地域宣言等についての規定を条例で定めるということです。
その(2)について
条約解釈については、赤十字国際委員会コンメンタールで詳しく述べられています。条約の解釈は片方の当事者が一方的に行うものではなく、赤十字国際委員会など国際機関が行うべきものです。ジュネーヴ諸条約等の目的を達成するために、赤十字国際委員会コンメンタールに沿って、条約解釈を明確にすれば、わざわざ市条例や規則で定める必要はないと思います。
また、占領時の規定について具体的に定めることは、いたずらに占領の危機感を煽ることになるので必要ないと思います。国家が国民に軍事協力を求める時に使われる手法が危機感を煽ることです。日本軍がアジア各国に侵略し凱旋している最中でも、国民には毒ガス弾の危機を煽っていました。
当時のガス弾のパンフレット(防毒マスクが似合う街〜水島朝穂 より)と、現在の国民保護計画のパンフレット(内閣官房 国民保護ポータルサイト より)を見比べてください。とてもよく似ているのは偶然ではありません。国民を軍事に協力させる手法は昔に確立されているので、今もその手法をとっているのです。
占領時の規定を条例・規則に定める論議をすることは、このような動きに利用される恐れがありますので注意が必要です。
以上です。
- コメント 08/05/30 傍観者 さん
- 再度のご回答に感謝します。
回答内容の確認のために、今までの三度の質問の回答を要約して以下に列記します。
当方の解釈違いがあれば指摘してください。
1) 道路占有権が自衛隊のみに認められる可能性はこれを否定できない。
2) 1)の場合でも59条の条件を市として満たしていない状態とはいえない。
よって国道2号線等の国道、国有地に自衛隊が駐屯、部隊移動の為に封鎖され、市が国道等によって物理的に分断される事態は宣言下でもありうる。
つまり、
条例案6条 市は、平時においても、第1追加議定書第48条に定める軍民分離の基本原則を尊重し、同第58条に準じて軍事目標になる恐れがあるものを市内に持ち込むこと又は設けることを認めない。
とあるのは国の管理権限の及ぶ区域では該当しない場合がある。
3) ジュネーブ条約59条の解釈は国際赤十字委員会のコメンタールにのっとり解釈され、侵行軍・市・自衛隊などの当事者間で条約若しくはコメンタールの解釈に違いがあった場合は個別の事案に対して国際赤十字委員会などの、当事者の認める第三者の判断に従うものとなる。
4) 『尼崎市に平和無防備条例をめざす会』の見解では条例で条約の不足部分を事細かに規定する必要を認めない。
以上で良いでしょうか?
- ブログ管理人からのお返事
- 1)について 市道以外については、そのとおりだと思います。
2)について 1)の場合は、59条(無防備地域宣言)の条件を満たしていないことが考えられます。その場合、宣言は、条件を満たしている地域のみを宣言することになり、市内で宣言地域とそうでない地域が生じる可能性があります。これは、自衛隊の合意(協力)次第です。
国道2号線の封鎖は、法理論上はありえるかもしれませんが、国道工事事務所(建設省)と地元警察とが許可しないとできませんし、市域を分断するとなると市民生活に大きな影響を及ぼすので、市の協力がないと物理的に難しいと思います。
条例案6条については、市の権限が及ぶ範囲では実効力がありますが、それ以外の範囲では市の立場を表明している条文になります。
3)について そのとおりだと思います。
4)について コメントへのお返事は、ブログ管理人である私が書いていますので、「会」の見解を質問されるとすぐには答えにくいのですが、私の見解としては必要を認めません。但し、宣言を行うにあたっての具体的な手順等については、規則や平和の街づくり計画などで定めることは考えられます。
以上です。
- コメント 08/06/04 傍観者 さん
- 聞き忘れてたので追加で質問です。
宣言下で進行軍が駐留した場合、警察権の行使は当事者の内どこが管轄するのでしょうか?
県警尼崎警察でしょうか?この場合指揮権者は市長で好いのでしょうか?
進行軍のMPでしょうか?
自衛隊のMPでしょうか?
それらの共同でしょうか?この場合の調整権限は誰が持つのでしょうか?
59条には警察権がある事は書かれていますがそれは具体的にどの組織に所属する警察なのでしょうか?
- ブログ管理人からのお返事
- 兵庫県警など文民の警察がそのまま業務を行うことになります。
よって、現場の指揮権限は警察署長になり、兵庫県警の最高責任者は兵庫県公安委員長です。
(ただ、細かい話については、市民が今までどおりの生活ができるように、関係者が会して協議することになるでしょうね。その音頭を取るのは、もっとも市民に近い地方自治体の長である市長が適任だと思います。)
なお、私のお返事は、赤十字国際委員会のコンメンタールなどを参考にしています。
「無防備地域宣言で憲法9条のまちをつくる」(自治体研究社)に59条に関するコンメンタールが全部掲載されています。その他、あなたの疑問に答える内容も書かれていますので、どうぞお読みください。ネットでも注文できます。
以上です。
(ブログ管理人から 6/8追記)
59条の中の「占領のために開放されているものを……宣言することができる」についてですが、「…のために開放される…」という表現は、国際条約でよく使われる言葉です。
例えば、条約の批准などに関する署名の規定では、「この条約は……署名のために開放される」という表現が定型句のように使われます。
また、国連海洋法条約第87条第1項では、「公海は、沿岸国であるか内陸国であるかを問わず、すべての国に開放される。」と規定されています。
宇宙条約第12条では「月その他の天体上のすべての基地、施設、装置及び宇宙飛行機は、相互主義に基づいて、条約の他の当事国の代表者に開放される。」という規定もあります。
上記の条約を引用して思いましたが、基本的に国際間の相互信頼に基づいて条約が定められていることを感じませんか。
「占領のために開放されている」という言葉を国際条約でよく使われる表現の一つとしてとらえれば、冷静に物事を見れるのではないかと思います。
つまり、この表現は単に状態を示しているだけであって、「占領を受け入れるために」と解釈するのは誤りです。このことは、赤十字国際委員会のコンメンタール2269「その地区が敵国に占領されないこともありうる…」からも明らかです。
あえて簡単に言うと、「無防備地域宣言」は「たとえ占領されそうでも武器は持ちません」という宣言を国際的にするということです。こういうことを、高らかに宣言されると、困るのは攻撃しようとする相手です。攻撃する根拠は無くなりますし、その自治体と話し合わざるを得なくなる効果が期待できます。
これは、まさしく「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意し」「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」とした平和憲法を自治体レベルで具体化するものであり、「主権在民」「地方自治の本旨」にも合致していると考えます。