第2条第2号 「市民」について 平和な街づくりをすすめるためには、市内に住んでいる人だけでなく、事業所で働く人や、学校で学ぶ人や、市民活動やボランティア活動などをしている人などの協力が不可欠であると考え、住民に限らず幅広く市民を定めました(外国籍の人も含みます)。
第3条、第4条 「平和的生存権」について 「平和的生存権」は日本国憲法前文でうたわれていますが、最も基本的な市民の権利として確認し、それを市が保護することを確認する意味で規定しました。
ちなみに、2008年4月17日、名古屋高裁は、「(平和的生存権は)全ての基本的人権の基礎にあってその享有を可能ならしめる基底的権利であるいうことができ、単に憲法の基本的精神や理念を表明したに留まるものではない。」「平和的生存権には具体的権利性がある。」と判示しました。
第6条第2項 「無防備地域」について 西宮市国民保護計画に『武力攻撃が切迫している状況等においては、自衛隊による誘導は要請しないことがある。』とあります。これは、軍民を分離するほうが住民被害を防ぐことができる可能性が高いからです。尼崎市も同様に自衛隊の出動を要請せず、さらに確実に住民被害を防ぐために「無防備地域」の条件を満たす地域を宣言するものです。
なお、「無防備地域」は、ジュネーブ条約第1追加議定書59条に定められている「特別の保護の下にある地区」になるという意味で、「何をされてもいい地域」ではありません。
東京都・品川区で平和無防備条例の審議がされた際、品川区は「(無防備地域は)占領されるということではなくて、そこで通常どおり生活してもいいという、そのまま保護するという内容でございます」と簡潔明瞭に述べました。
ジュネーブ条約第1追加議定書59条第3項には、秩序の維持のための警察の存在を明確に認めています。また、ジュネーブ条約追加議定書についての赤十字国際委員会のコメンタールpara2296は、「敵の軍隊は明らかにその地区に駐屯するべきではなく、敵は行政制度を発足させることに制限されるべきである」とし、para2269では「その地区が敵国に占領されないこともありうる」と書かれています。
誤解のないようにしておきたいのですが、私たちは占領を望んでいるのはありません。明確に占領には反対です。ジュネーヴ諸条約を活用するのは戦争を抑止する手段になるからです。
日本国憲法第9条が守られ武器を持たない地域は、特別に保護されるべきであることを、国際人道法はうたっているのです。
【参考】
2008年5月4~6日、幕張メッセで開催された「9条世界会議」に12000人が駆けつけました。
そして、
『戦争を廃絶するための9条世界宣言』がされました。
「戦争の廃絶をめざして、9条を人類の共有財産として支持する国際運動をつくりあげ、武力によらない平和を地球規模で呼びかける」とてもすばらしい宣言です。